アルファロメオでカウリスマキを観る。 [気になる映画]
アルファロメオは、イタリアの名車。
カウリスマキは、フィンランドの映画監督。
全く異なる世界のその接点は、東京都調布市。
「映画の街・調布」を盛り上げようと、
「街中が映画館」をテーマに掲げた市民活動「調布まちシネマ」の第8弾。
今年は12月11日から13日まで、
カフェギャラリー、美術工房、ライブ・バーなど
市内の多彩でユニークな会場を舞台に展開された。
アルファロメオ&フィアットのショー・ルームもその会場のひとつ。
上映作品は、アキ・カウリスマキ監督の
「真夜中の虹」(原題・ARIEL)。
私のブログの映画記事は、いつも、
映画そのものについてはほとんど何も触れていない。
今度もそう。
〈製作年度は1988年。
そういえば日本でも同じような時代があったなあ。日雇いの職探し…。
ただでさえ暗くてうそ寒いヘルシンキの空の下。
幸せとは縁のない人間は、不幸のスパイラルに巻き込まれていくだけ。
日本映画なら思い切り悲惨な描き方をするんだろうが、
カウリスマキは明るいな。救われるな〉。
…と、こんな程度。
映画に感動するのはもちろんだが、
このような若い世代による自主的な上映活動に感動する。
調布市はこれまで「映画の街」を標榜しながら
パルコの中にあったシネコンが消滅して以来、映画館のない街だった。
けれども、撮影所、ラボラトリーから、セットや衣装・小道具会社を擁し、
日本の映画産業を牽引してきた誇りと技量は消えていない。
『映画がいつもそばにある街/暮らしに映画がとけこんでいる街』
それが、「調布まちシネマ」のビジョン。
都市計画としては今後、京王線調布駅地上再開発の一環として、
超大型映画IMAX(アイマックス)シアターを備えた複合ビルも建設されるらしい。
映画製作から配給・上映まで、デジタルによる環境も急速に整いつつある。
商業映画から個性あふれる自主製作映画まで、
調布は今、名実ともに「映画の街・調布」に向かって変身している。
「黄金のアデーレ 名画の帰還」に涙。 [気になる映画]
第二次世界大戦中に、ナチスがヨーロッパの美術品を略奪した話と聞くと、思い浮かぶのは、
バート・ランカスター主演の「大列車作戦」(1964)という古いモノクロ映画です。
その映画は文字通り、列車による美術品奪還をスリリングに描いたアクション映画でした。
新作「黄金のアデーレ 名画の帰還」は、大好きなクリムトの絵画にまつわる物語であるということ、
それと、主演俳優がこれも大好きなヘレン・ミレンである、ということで大いに期待しておりました。
若き日のヘレン・ミレンの美しさには、単なるきれいさ以上の深い魅力があり、
「エクスカリバー」(1981)あたりからすっかり魅せられてしまったものですが、
2006年のアカデミー賞・主演女優賞受賞作「クィーン」を経て、
現在のヘレン・ミレンも年齢以上にきれいです。
ところで、映画から受ける感動にはいろいろありますが、
ド派手なアクション映画が大好きな私は、大抵スケールの大きさに感動することが多かったのです。
ところが「黄金のアデーレ 名画の帰還」は違いました。
いわば不意打ちを食らわされた形で、それはちょっと意外でした。
この作品が、いわゆる胸にぐっとくる種の映画とは思っていなかったのです。
試写会で見たのですが、なんと胸打たれたシーンが3回ほど。
思いもかけず久々にウルウルした映画だったのです。
ところがこの感想を友人に話すと、「いまいち」だったというのです。
彼女は映画の評論を書いたりしているので、マスコミ試写で既に観ているのですが、
単純に映画を楽しむつもりで観覧した私とは、きっと違う視点で観ているのでしょうね。
ですから、私が涙したことはあまり参考にはなりません。
どこでこみあげて来たかも、そっとしておくことにしましょう。
ただ言えることは、
「いろいろあったけど、あきらめないでほんとに良かったね」と、
主人公といっしょの感慨を味わえる、爽やかな感動だった、ということです。
◆監督/サイモン・カーティス(「マリリン 7日間の恋」)
◆主演/ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール
◆提供/ギャガ、カルチャー・パブリッシャーズ
◆配給/ギャガGAGA★
◆11月27日(金)全国ロードショー