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★映画「峠-最後のサムライ」を観ました★ [気になる映画]

★映画「峠-最後のサムライ」を観ました★
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映画といえば洋画。それもほとんどアメリカ映画というかなり偏狭な志向を持つ私が、この17日よりロードショーというその初日に”映画館”で映画を観るということは、よほどの理由があると言わねばなりません。タイトルは「峠-最後のサムライ」。原作は知る人ぞ知る司馬遼太郎の「峠」を映画化したもので、主人公は河井継之助(役所広司)。彼が家老を務める越後長岡藩こそ、私の郷里であるからなのです。

原作は前編後編全2巻の長編ですが、映画は長岡藩の運命を決める戊辰戦争の端緒となる鳥羽伏見の戦いから華々しく始まると思いきや、原作後編に描かれる徳川慶喜の大政奉還からスタート。ファーストシーンの徳川慶喜(東出昌大)の長セリフで時代背景を凝縮した後はもっぱら淡々と継之助の妻すが(松たか子)やその両親との対話が続き、前半は「静」、後半は戦場を主とした「動」という構成かと思われました。時代が急を告げる中でのひと時の平安。長岡甚句の唄と踊りは、私を小中学生の頃に引き戻しました。

この手の作品…幕末を彩る群像の中でひときわ異彩を放つ河井継之助には歴史好きの多くのファンがおり、それぞれに継之助像が確立していると考えられ、映画化された人物像については可否があると思いますが、私はもっとアクの強い面も見たかった。
また、継之助に開戦の決意へと向かわせる中間のクライマックスにおける演出が手ぬるい。小千谷・慈眼寺での官軍軍艦・岩村高俊(吉岡秀隆…大いなるミスキャスト)との談判シーンですが、継之助にも懇願ながら気迫で迫るもっと切迫した演技がないと開戦の決意にはつながらない。岩村役では確か以前テレビドラマで見た中村獅童の演技は最高でした。他に私の世代では懐かしい香川京子さん。その演技は地味ながらとても光っていました。

映画は後半、一気に長岡を舞台にした北越戦争に突入するのですが、歴史上その場を彩った幾多の長岡藩士が群像としてしか描かれていないことは上映時間の都合上致し方のないことでしょう。私の郷里の家は、長岡城奪還で展開される八丁沖の一角にあります。現在は整理された広大な水田地帯ですが、子供のころよく魚獲りに出かけたものでした。考えてみれば長岡藩壊滅は慶応4年、1868年。私が生まれるたった73年前の出来事なのです。(2022年の今年は154年目)。長岡城は戊辰戦争終結後取り払われ、日本国中各地に古城は存在すれど、今日長岡城の姿を仰ぐことができないのは寂しい限りです。

小泉堯史監督については日本映画界では圧倒時な経験をお持ちとは認識していますが、ここに書けるほど作品を観ておりません。本作は原作に即して描かれておりますが、例えば継之助の死までを見届けた忠実な下僕松蔵の目を通して語るとか、原作と異なる視点からの脚色を考えるなどもう一工夫あると、もっと継之助の苦悩の内面に迫れたかも知れない。

また原作が発表されたのは1968年。映画はコロナで公開が遅れたらしいのですが、今なぜ半世紀以上前の「峠」なのか。河井継之助なのか。維新関連における何かの周年企画なのか。また、ロシアとウクライナの問題とは”似て非なり”と思うのですが。
企画という点においては、やはり幕末においてロシアと樺太は陸続きではないことを探検により解明した間宮林蔵の映画も見たいものです。

※2008年に書いた長岡城関連の記事があります。よろしければどうぞ。


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コメント 1

lamer

返信頂き有難うございます。
引越しってこんなに大変なものなのか痛感しています。
若い時ならともかく歳をとってからは厳しいですね。
まだ終わっていません。
出来るだけ捨てて来たので・・・。
コロナには良い加減うんざりです。
自分で守るほかなさそうですね。
での今は便利なリモートや(でいていませんが)
Zoomでカイジとか(出来ていませんが)
出来る人には活動範囲も広がって良いのではないでしょうか。
ご活躍を楽しみにしています。
by lamer (2022-09-14 15:58) 

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