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新宿花園神社は、今も…。 [POPな世界]

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●新宿花園神社本殿 テレビのクルーが取材中

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●明治通りに面した正門

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●靖国通りに面した脇参道  右の金網の中には唐獅子像

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まず、「花園」というネーミングがファッショナブルだ。

創設は慶安元年と改元された1648年というから、
江戸時代初期、三代将軍家光の時代。

そこは尾張公の別邸で、邸内にあった花園にちなんだ名称、というから、

決して今時の軽い風潮に合わせてウケを狙ったものではない。

 

新宿駅東口から1キロ以内だから、徒歩で10分足らず。

正門は靖国通りに面しているが、明治通りに脇参道があるので、

そこから入ると若干近い。

朱に塗られた本堂は美しく威厳があり、

広い境内の一角には、赤い鳥居の続く花園稲荷も祀られている。

ここにアンダーグラウンド演劇(アングラ演劇)で名を残す、

唐十郎率いる「状況劇場」の拠点、赤テントがあった。


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●花園稲荷                   ●二宮金次郎
 

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●赤テントの中、観客と一体となって演じられる状況劇場「少女仮面」1969   (御子柴滋氏)

 


また、花園神社境内を根城に演劇活動を続けて27年目になるという劇団「椿組」主宰の外波山文明氏は、 今年も712日から、中上健二作「かなかぬち」を野外劇形式で上演するという。(氏のブログ「外波山文明の戯言2」参照)
私は、題名は忘れてしまったが、映画に出演の氏の演技を見て、いっぺんに魅了されてしまったことを覚えている。
アングラ演劇人の持つ得体の知れないパワーは、揺るぎない演技力に支えられているものだと知った。
昔日のアングラ演劇の系譜が、外波山文明氏ら劇団「椿組」によって、今なお花園神社で生き続けていることに敬意を表したい。
 



アングラ演劇は1960年代に興った。

新劇を超え、新しい演劇を創造するという動きで小劇場運動とも呼ばれた。

実験的、前衛的色彩が濃厚で、その挑戦的で視覚的なステージは

ベトナム戦争という閉塞感の濃い世界情勢を背景に若者の共感を取り込み、

瞬く間に演劇界を席巻していった。

 

こうして反体制演劇界は、鈴木忠志、別役実(早稲田小劇場)、佐藤真、串田和美(自由劇場)、寺山修司(天井桟敷)、蜷川幸雄(現代人劇場)らを輩出。
最盛期には天井桟敷による市街劇など、文字通り型破りの展開が話題と人気を呼んだ。

その後70年代以降は、つかこうへい(つかこうへい事務所)、野田秀樹(夢の遊眠社)、如月小春(NOISE)、川村毅(第三エロチカ)、鴻上尚史(第三舞台)へと移行するにつれ反体制色は薄れ、アングラ演劇の名は消滅する。


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●新宿通り 新宿駅東口から三越、伊勢丹方面を望む 1970

 

アングラ演劇というと、

横尾忠則描く、寺山修司率いる「天井桟敷」のポスターが頭に浮かぶ。

また、厳密には違うジャンルなのだろうが、

麿赤兒率いる「大駱駝艦」のように、全身白色に塗りこめて演じる舞踏の世界も思い浮かぶ。

 

個人的には新宿梁山泊の「人魚伝説」が好きな出し物だった。

ストーリーも分かりやすく、本物の水を使う大掛かりな舞台で、

のちには、「パルテノン多摩」メイン階段裏にある池を

そのまま使ったステージが圧巻だった。

 

アングラの世界からメジャーの世界に羽ばたいて行った人たちも多い。

劇団の主宰者はもちろん、俳優陣では(思いつくまま順不同)

根津甚八、石橋蓮司、四谷シモン…

白石加代子、吉田日出子、緑魔子、李礼仙、新高惠子、高橋ひとみ…

これら錚々たる面々をみれば、アングラ演劇が演劇・映画界にいかに貢献したかが分かろうというものだ。

このように、カウンターカルチャーを背負っていた人たちが、一般的な映画演劇の世界に取り込まれて行った時、アングラの時代は終焉を告げたと言えるかもしれない。

 



アングラ演劇が花開いてから、すでに半世紀。

これらの方々の中で、他界された方も。

今、あまりにも穏やかな花園神社の境内に立つとき、

あの時代の「表現」に対する渇望に満ちた熱狂と喧騒が嘘のようだった。


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●「圭子の夢は夜開く」の歌碑
  藤圭子さん。8/22、TVニュースで思いがけない訃報を知りました。
  私の大好きな演歌歌手
だっただけにショックです。心からご冥福をお祈りいたします。

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●本殿裏手の大鳥居

★次回はこの記事に関連し、花園神社本殿裏手の「新宿ゴールデン街」を紹介。


★動画もどうぞ




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よーじっく

こんにちは。
新宿の花園神社は早朝 一度だけ
急用で真横に通り抜けたことがあります。
何十年も前です。
イメージと違って普通の神社でした (^^ゞ
by よーじっく (2013-07-02 08:01) 

駅員3

花園神社に二宮尊徳さんがいらっしゃったのは、全く記憶にありませんでした。
ゼブラ板の付いた信号が、懐かしいです!
by 駅員3 (2013-07-02 15:47) 

くまら

なんか・・・新宿って感じしないですね・・・
でも、朱色の鳥居等が綺麗^^
by くまら (2013-07-02 19:14) 

しばちゃん2cv

こんばんは。
コメントありがとうございます。
またお邪魔いたします。
by しばちゃん2cv (2013-07-02 21:40) 

sig

(。・_・。)2kさん
tochiさん
          こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-02 23:57) 

sig

よーじっくさん、こんばんは。
ほんとに普通の神社で、昔、アングラ芝居でにぎわった時代がうそのようですね。
by sig (2013-07-02 23:59) 

sig

般若坊さん
suzuranさん
森田惠子さん
お茶屋さん
ChinchikoPapaさん
kurakichiさん
市丸さん
           こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-03 00:01) 

sig

駅員3さん、こんばんは。
二宮尊徳さん、今や貴重な存在ですね。この像は苔むしていないので、意外に新しいものかもしれません。1970年の新宿東口の写真は、現在とあまり変わっていませんね。
by sig (2013-07-03 00:05) 

sig

みぃにゃんさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-03 00:05) 

sig

くまらさん、こんばんは。
新宿駅からすぐ近くで,こんなに静かな場所があるのが不思議なくらいです。
by sig (2013-07-03 00:09) 

sig

ffmlさん、はじめまして。こんばんは。ご来館ありがとうございます。

by sig (2013-07-03 00:10) 

sig

sanaさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-03 00:13) 

ぼんぼちぼちぼち

もうちいと早く生まれていたら アングラ全盛期を体感できたのになぁと思いやす。
花園神社は、新宿に行くと用もないのにぶらりとしやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-07-03 09:14) 

sig

麻里圭子さん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-03 09:22) 

sig

ぼんぼちぼちぼちさん、こんにちは。
あ、やっぱり。実はアングラが好きというほどではなかったのですが、時代のひとつの象徴としての郷愁で、伊勢丹を越えるとつい立ち寄ってしまいます。
by sig (2013-07-03 09:24) 

sig

oomoriさん
有城佳音さん
Okin-02さん
sun-highさん
花火師さん
           こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-03 19:35) 

路渡カッパ

花園神社、興味深いところですね。見せ物小屋なんてのも立つそうですね!
アングラ演劇、アングラ映画・・・懐かしい響きです。今も息づいているのが嬉しいような。
横尾忠則描く「天井桟敷」のポスター。私はグラフィック系なので、当時の横尾さんの作品は随分見た気がします。平凡パンチなどでね。(^_^ゞ
「圭子の夢は夜開く」、新宿が舞台だったのかな。そう言えば「新宿の女」も歌ってましたね。
ちなみに、京都には花園高校ってあるんですよ。男子高なんですが・・・(笑)
by 路渡カッパ (2013-07-03 23:29) 

Ja-Kou66

花園神社は、2年くらい前に年越しで夜な夜な行きました。
すごーい人・人・人・・・でした。
混雑したイメージの無い神社だったのですが、お正月は違いますね。
それと、昔の新宿の街写真、すごいですね!
歩行者天国だったのでしょうか。
ゴールデン街、看板ニャンコ目当てに数回行きました^^
by Ja-Kou66 (2013-07-04 00:20) 

sig

八犬伝さん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-04 23:36) 

sig

路渡カッパさん、こんにちは。
横尾忠則の原色をギラギラ使ったコラージュ風のデザインはショッキングでしたね。宇野亜喜良のイラストも印象的でした。あの頃はバブル前で、社会全体が弾けていた感じがします。演歌は全くの門外漢なのですが、藤圭子は好きでした。歌よりも彼女の雰囲気だったかも。笑 花園高校が男子校なんて、TVドラマになりそうですね。
by sig (2013-07-05 09:22) 

sig

Ja-kou66さん、こんにちは。
お正月はそんなにすごいんですか。あの静かな広い境内が人の波とは・・・。1970年の新宿の写真、今とあまり変わらないように思いますけど。ゴールデン街、ご存じなんですね。猫ちゃんがあちこちに居ましたが、看板にゃんこが居るんですね。知りませんでした。撮れてるかな。
by sig (2013-07-05 09:27) 

sig

pandanさん
セイミーさん
BlackTigerさん
           こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-05 09:28) 

sig

alba0101さん、はじめまして。こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-05 09:29) 

sig

めぇさん
miyokoさん
          こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-05 09:30) 

sig

あかしやさん、こんばんは。ご来館ありがとうございました。
by sig (2013-07-05 22:05) 

sig

森田航さん、はじめまして、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-05 22:56) 

sig

CROSTONさん、こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-07-05 22:57) 

松本勲信

ハードのアクシデントで遅くなりました。アングラ劇場~天井桟敷~寺山修司~イメージフォーラム~かわなかのぶひろ等、1970年代の臭いが迫ってきました。次回のアップをこれから観ます。
by 松本勲信 (2013-07-08 01:44) 

sig

松本勲信さん、こんばんは。
騒乱の70年代、でしたね。それなりに強烈な記憶を残すことになりました。
by sig (2013-08-22 19:37) 

sig

アヨアン・イゴカーさん
kenさん
kiyoさん
ネオ・アッキーさん
yutakamiさん
チョコシナモンさん
whitesoxさん
砂漠のラクダさん
           こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-08-22 19:40) 

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