今は昔、丸の内「一丁倫敦」、三菱一号館。 [昭和SHOWA]
●ニュースやドラマでおなじみ。東京駅のお決まりカット。
東京駅が「丸の内駅舎保存・復元工事」を終えて新しくなってから
10月1日でちょうど満2年。
東京駅開業(1914/T3)から数えると、満100年だそうです。
★関連記事 東京駅リニューアル・オープンは10月1日。
http://fcmfcm.blog.so-net.ne.jp/2012-09-24
100年前、東京駅開業で一気に活気づいたのは、
駅前から皇居のお堀端にかかる丸の内と呼ばれる地でした。
●2009年にレプリカ再生された「三菱一号館」。現在は美術館、他
このあたり一帯は明治の半ばまで陸軍省の軍用地でした。
1890(M23)年に、当時隆盛著しい三菱に払い下げられてから、
産業経済振興に向けた開発が進められ、首都にふさわしい基盤が築かれたのでした。
この街づくりに名を残すのは、ロンドン出身の建築家ジョサイア・コンドルです。
彼は1883(M16)年に日比谷に完成した「鹿鳴館」を設計しましたが、
1890(M23)年には三菱に顧問として迎えられていました。
広大な更地に、首都の中枢としてどんな街区を構成するのか。
まさに百年の計を任されたわけです。
●ジョサイア・コンドル
彼は渡英中の三菱幹部らの進言を汲み、
当時のロンドン、ロンパード街に倣って赤煉瓦ビル街をイメージし、
「20間(約36m)の道路に接する、高さ50尺(約15m)の3階建て赤煉瓦造りで統一」することにしました。日本初の洋風オフィス街です。
こうして1894(M27)年竣工の「三菱一号館」を皮切りに「三菱二号館」「三菱三号館」が相次いで建設され、その建ち並ぶ様は100m以上に及んだため、「一丁倫敦(いっちょうロンドン)」と呼ばれました。
なお、三菱の一連の建物は1904(M37) 年竣工の第六号館、七号館まで及び、
東の日本橋を地盤として栄えた三井系の金融・経済・商業施設に対して、
西側の丸の内一帯は「三菱村」と呼ばれていたそうです。
こうした動きの中での東京駅開業でした。
●現在の地図にみる「一丁倫敦」と呼ばれた地域 (グリーンに着色したあたり)
●「一丁倫敦」の展望。左手奥に皇居の櫓と石垣が見える。下にその部分を拡大。↓ 森に見えるのは皇居。
●「一丁倫敦」の様子。上の写真では右手奥が「三菱一号館」。
下の写真では右手前が「三菱一号館」。
準に奥に「三菱二号館」「三菱三号館」「東京商工会議所」。
●上下/取り壊し前の「三菱一号館」(右の建物)。
月日は巡り、超高層ビルが林立する現在の丸の内。
依然として経済の中心を担っていますが、
明治の心意気、美意識を伝える赤煉瓦の建物は完全に消滅しました。
「三菱一号館」は存在しますが、2009年にレプリカ再生されたものです。
そして今年、東京駅100周年。
ほぼ創建当時の姿に復元された、その価値観の相違を考えずにはおられません。
現在の「三菱一号館」は
噴水のある中庭を擁する都会のオアシス、丸の内レストゾーンです。
●丸の内美人 ●美術館入口
●美術館側からの通りから中庭へのコンコース
●中庭での憩い
●ジョサイア・コンドルはその後、東京大学工学部の前身・工部大学校の教師になります。その第1期生として首席で卒業したのが辰野金吾でした。
辰野はのちにロンドンに国費留学して西洋建築を学び、帰国後、日本銀行本店や当時中央停車場と呼ばれた「東京駅」を設計することになるのです。
●一丁倫敦関係の写真は「丸の内百年のあゆみ: 三菱地所社史」より借用しました。
●「三菱一号館」についてはkurakchiさんのブログに詳しい記述がありますので、ご参照ください。
http://joun.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
●記述に間違いがあれは、コメント欄か、ブログ左袖上の「連絡先」まで メールでお知らせいただけたら幸甚です。
★関連記事 東京駅リニューアル・オープンは10月1日。
http://fcmfcm.blog.so-net.ne.jp/2012-09-24
「三菱一号館」がレプリカ再生されたのは、国の(重文)指定を受けるのを嫌ったためだと言われていますね^^;)
また、隣に高いビルを建てるための“未利用容積率を移転する権利(空中権)”の目的もあったようです!?
by 風来鶏 (2014-10-04 02:54)
sigさん おはようございます。
赤レンガの建物が立ち並んでいた景観は見事です。今の東京とは思えない不思議な空間でした。
by SORI (2014-10-04 03:25)
新装なった東京駅も素晴らしいですが・・
丸の内も整備が進んで本当に大変わりした感じです。
古き良きものは残しつつ新旧の調和もとれているのがいいですね。
by kemm (2014-10-04 05:36)
sigさん おはようございます。
東京駅と三菱一号館、その設計者であるジョサイア・コンドルと辰野金吾の関係が立体的に説明されていて大変面白く読ませていただきました。
拙ブログへのリンクありがとうございました。
私の記事などは貴兄の記事に比べ内容がペラペラでお恥ずかしいです。
by kurakichi (2014-10-04 07:08)
赤レンガの町並みが続いていた当時はよかったでしょうね。
今は見上げるビルばかりで(^_^;)
でも時代によって変わりますが、今でも三菱村は変わらない・・・
by green_blue_sky (2014-10-04 07:09)
sigさん はじめまして 森のノームといいます。
綺麗な写真をありがとうございます!とても楽しく拝見しました^^
更新を楽しみにしています!
by 森のノーム (2014-10-04 08:37)
丸の内は大きく様変わりしましたね
私が上京した昭和30年代の仲通りは低層の煉瓦の建物が並んでいました
by koh925 (2014-10-04 09:05)
Jakouさん
アルマさん
Ryo1216さん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:09)
風来鳥さん、こんにちは。
調べたら色々書いてありました。風来鳥さんはそういう話にお詳しいですね。私は深い突込みができなくて、こんな程度でごまかすしかありません。
by sig (2014-10-04 11:13)
あるいるさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:16)
SORIさん、こんにちは。
昔の煉瓦街の様子は、超高層のオフィスビルと比べると、とても重厚ですね。
by sig (2014-10-04 11:17)
tochiさん
kiyoさん
kinkinさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:19)
kemmさん、こんにちは。
超高層への転換が相次ぐ都心ですが、昔の形を残した東京駅の改修工事はとても貴重なことだったと思います。
by sig (2014-10-04 11:22)
獏さん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:23)
楽しく拝見致しました。昭和13年東京駅前丸ノ内口の我が一門の大集合写真をながめ、往時の姿に戻された駅舎に同じ位置でカメラを構え、使用レンズの画角を調べたいと思っていたところでした。
by 栗原行廣 (2014-10-04 11:25)
sigさま
コンドルは大磯に別荘を構え、三菱村の仕掛け人、岩崎家のひとびも大磯にも別荘を構えました。今はコンドル邸跡には、マンションが、岩崎家の別荘は、サンダースホームになっています。
明治も、昭和も遠くになりにけりですね。
by SILENT (2014-10-04 11:32)
kurakichiさん、こんにちは。
たまたま東京駅100周年のポスターを見て、三菱一号館から話がそれてしまいました。三菱関係ではkurakichiさんの記事のようには書けそうもないので、そちらのブログにバトンタッチしてもらいました。手抜きです。笑
by sig (2014-10-04 11:34)
green_blue_skyさん、こんにちは。
本当に見上げるようなすごいビルばかりで圧倒されてしまいますね。三菱村、今も健在ですね。
by sig (2014-10-04 11:36)
やってみようさん
般若坊さん
hi-ragiさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:38)
モリのノームさん、はじめまして。こんにちは。
ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:41)
koh925さん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:43)
栗原行廣さん、こんにちは。
昭和13年と今の様子が変わっていないことはうれしいですね。
東京へはよく行くので、好きな東京駅の写真はたくさんあります。上の写真はかなりの広角なので、左の部分が内側に歪んでいますが、最近、そういう場合に修正できるソフトを見つけました。
by sig (2014-10-04 11:50)
YUTAじいさん
おちゃゃさん
モリガメさん
e_g_gさん
sugoimonoさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-04 11:54)
SILENTさん、こんにちは。
三菱と大磯との関係は相当に深いのですね。コンドルさんの別荘が残されていたら、ぜひみたいものですが、本宅の方は残っているのでしょうか。
by sig (2014-10-04 11:58)
お江戸へ行った際、丸の内界隈を歩くの好きだったりします
三菱の建物がレプリカだったとは知らなかったです
by くまら (2014-10-04 12:14)
先人達の慧眼には頭が下がりますね。ロンドンの街並みを目指した都市計画のおかげで、貴重な建築物が今なお残っているんですね。
戦後アメリカナイズされて、味もそっけもない建物ばかりで、景観なんぞは二の次でした。
これに抗して、昔の建物を保存維持しようとする運動に、大賛成です。
by 般若坊 (2014-10-04 14:17)
百年前、当時の人にとっては凄い時代だったでしょうね。
今なら何が建ってもそう驚きませんが・・・(^_^ゞ
このような遺産を残すのは大切ですね。できればそれを見て当時の民衆の気概のようなものも思い起こすことができればイイですね♪
by 路渡カッパ (2014-10-04 15:39)
やっぱり古いものはいい。
私のぎゃらりぃも90年程。
by 夏炉冬扇 (2014-10-04 19:10)
くまらさん、こんばんは。
三菱一号館がなぜレプリカかはkurakichiさんのブログにあるので、あえて書きませんでした。とにかく、古いものを残すにはよほどの文化的理解が不可欠だということのようです。レプリカでは文化的価値は半減ですよね。
by sig (2014-10-05 00:26)
般若坊さん、こんばんは。
この三菱一号館の本物は、新しいビルを造る際に撤去された後、複製されました。東京駅の場合は、その愚を犯すことなく、ほぼ完全に復元され、建設当時の姿を維持しています。本物を残し維持することのむずかしさを、この2例で対比してみました。三菱一号館も本物が残っていたら、と思う人は多いのではないでしょうか。
by sig (2014-10-05 00:49)
ChinchikoPapaさん
Okin-02さん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-05 00:51)
路渡カッパさん、こんばんは。
何でも新しがり屋の東京と比べると、京都は伝統や古いものを誇りを持って大切にしていると思います。100年以上もつものがたくさん残されていますね。東京の場合、この高層ビルの100年後はどうなるのかと心配になります。SF映画のような高層ゴーストタウンを経て廃墟になるのかもしれませんね。
by sig (2014-10-05 00:56)
きゅーさん
アヨアン・イゴカーさん
makimakiさん
yakkoさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-05 00:58)
夏炉冬扇さん、こんばんは。ぎゃらりーが90年とはすごいことですね。
古いものはいいのですが、この三菱一号館の場合は古い物を壊した後で複製を建て直したわけですから、文化的には大きな損失と言わざるを得ません。
by sig (2014-10-05 01:01)
丸の内はベッピンさんだらけで
ついついキョロキョロ歩いてしまいます(^^;
by (。・_・。)2k (2014-10-05 01:03)
ニッキーさん
ゆうのすけさん
.comさん
C-BoYさん
唐津っ子
市丸さん
(。・・。)2kさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-05 01:03)
(。・_・。)2kさん、こんばんは。1:03に同時にコメント書いてましたね。
丸の内のベッピンさんには大人の魅力を感じますね。銀座の人種とも違う気がします。
ここらでもうおやすみにしましょうか。笑
by sig (2014-10-05 01:09)
歴史的建築は原型のまま保存すべきでエネ。
by Silvermac (2014-10-05 09:08)
「一丁倫敦」はまさに文明開化?近代国家の夜明けを感じさせますね。三菱一号館は本物だと思っていました。レプリカだとは知りませんでした。
by カメキチ (2014-10-05 09:53)
この赤煉瓦街が残っていたら、本当に素晴らしかったでしょうね。
捨てるは簡単。でも、捨てたものはもう帰ってこない。
by mito_and_tanu (2014-10-05 16:01)
レンガ造りは、オオカミには壊されないけど?
三匹の子豚かっ(^^;
地震には弱いからね。
by Aちゃん (2014-10-06 20:18)
ほんと当時の風景をみたら
日本とは思えません。
やっぱり赤煉瓦って美しい・・・・です・・・・
いや、丸の内美人の方が美しいです。
by 響 (2014-10-06 22:22)
今治造船東京支社が皇居前にあるので
よくその周辺を散策します(^O^)/♥
ねね
by 今造ROWINGTEAM (2014-10-07 10:10)
ハマコウさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-07 10:17)
Shilvermacさん、こんにちは。
この建物の場合は三菱の損得勘定で取り壊されたという話ですが、文化的視野も広く持ってほしいものですね。
by sig (2014-10-07 10:19)
flutistさん
kaminews100さん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-07 10:20)
カメキチさん、こんにちは。
きれいに見えたのは新品だからなんですが、古いものはもう還りませんね。残念なことです。
by sig (2014-10-07 10:22)
mito_and_tanuさん、こんにちは。
ほんとにその通りですね。三菱ならもっと文化という視点を持ってほしかったですね。
by sig (2014-10-07 10:24)
rincoさん
(た)さん
あんれにさん
sanaさん
youjiさん
falconさん
げいなうさん
ぼんぼちぼちぼちさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-07 10:27)
Aちゃんさん、こんにちは。
なるほど、地震対策で取り壊したんですね。納得です。笑
by sig (2014-10-07 10:29)
八犬伝さん
しばちゃん2cvさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-07 10:31)
響さん、こんにちは。
赤レンガの建物はそちらの方が多そうですね。
丸の内美人は大人の感じですよね。眉目秀麗、才気煥発という言葉通りのようです。
by sig (2014-10-07 10:35)
corradoさん
麻里圭子さん
ちょいのりさん
シラネアオイさん
caverunaさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-07 10:36)
ここら界隈の事を書き始めると、際限なくなってしまうので、東京駅を取り上げただけで、ぐっと我慢しています!
by 駅員3 (2014-10-07 13:34)
追伸 La Pala は多摩センターですから、是非奥様と訪ねてみてください!
by 駅員3 (2014-10-07 13:36)
しばらく行かないうちにこんなに・・・もうおのぼりさんです。
素晴らしい様変わり。
丸の内美人も足、長っ!!
by OMOOMO (2014-10-08 07:40)
ココの美術館のカフェが好きなんですけど、特別展がある時は混むのが玉にきずです。
by gillman (2014-10-08 09:54)
もう二年たちましたか。
やっぱり赤煉瓦は心温まりますね。
東京駅といい横浜の赤煉瓦倉庫といい趣があります。
三菱一号館もいいですね。
うっかりすると入口を見落としてしまいそうな感じですが
中庭があって美術館。
カツカツとヒールの音が絵画鑑賞には邪魔になりました。
今でも変わり米のでしょうか?
by lamer (2014-10-08 10:08)
今造Rawingtearm ねねさん、こんにちは。
会社は日比谷公園対面の一等地ですね。以前、記事にさせて頂きましたので、今回は皇居の実です。
by sig (2014-10-08 12:29)
もう2年前なんですね。東京駅の歴史をこうして読ませていただき、へぇ〜。鹿鳴館とかも作られた人が建築されたとは。日本と馴染みが深い方なんですね。 丸の内のお姉さんが素敵過ぎです(笑)。
by うさ (2014-10-10 00:35)
今造RAWINGTEAMさん
森田惠子さん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-19 20:17)
駅員3さん、こんばんは。
すみません。折角のお誘い、とうとう実施期日が分からずじまいでした。ごめんなさい。
by sig (2014-10-19 20:20)
すーさん
NO14Ruggermanさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-19 20:21)
OMOOOMOさん、こんばんは。
たまには丸の内にもお出かけください。きっと興味ある題材が見つかると思いますよ。
by sig (2014-10-19 20:23)
gillmanさん、こんばんは。
確か丸の内は守備範囲でしたね。美術館のカフェ、今度寄ってみたいです。
by sig (2014-10-19 20:25)
lamerさん、こんばんは。
お仕事柄、美術館はよく利用されるのでしょうね。三菱一号館美術館は東京駅前と言ってもよく、便利ですよね。
by sig (2014-10-19 20:27)
うささん、こんばんは。
明治時代には東京駅前はまさにロンドンのような感じだったのでしょうね。でも、ビルの裏は草の生えた広場だったようですよ。洋装の丸の内レディが颯爽と闊歩するのは、昭和になってからでしょうね。平成の世を闊歩するのはうささんかも。
by sig (2014-10-19 20:38)
youji_xさん
チョコシナモンさん
寂光さん
ネオ・アッキーさん
さる1号さん
昆野誠吾さん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2014-10-19 20:40)