Panasonic FZ70で、60倍、120倍の[動画]ズーミングを試す。 [世の中SPOT]
●都庁展望室より望む六本木ヒルズ FZ70の動画より iAズーム2400mmのあたりをコマ抜き。画質調整実施
●ビデオカメラとして使うことも前提に。
私がこのカメラを魅力的に感じた第二のポイントは、ビデオカメラとしての機能です。(第一のポイントは前回)
FZ70のスタイルは一般的に見ればスチルカメラといえるでしょう。
ところがご承知の通り最近のスチルカメラは、動画撮影の機能がビデオカメラと変わらなくなってきています。FZ70ももちろんフルハイビジョンでの動画撮影ができるため、ズーム比の大きなこのカメラを、ビデオ撮影にも積極的に使いたいと考えました。
スチル撮影でのズームの利用は、撮影前に広角側か望遠側か画面に写し込む被写体のサイズを決めたり、背景のボケ具合を確認しながら寄せたり引いたりして調整する時だけ。流れるように光芒を引く特殊効果を狙う撮影以外はズーミングをすることはありません。
ところが動画撮影となると状況は異なります。
一定時間継続して対象(被写体)を引き寄せたり引き離したりするテクニックは、特別な心理効果を呼び起こす映像表現として不可欠なものです。
ただ、普段の撮影でズーム効果を狙うことは、それほど多い訳ではありません。
それは、動画ではズーミングは特別な狙いで行われるもので、やたらに使うべきテクニックではないから、ということもあります。
ただ、カメラを思うように移動できないステージ撮影のような場合は、ズーム比の大きさがものを言います。 (以下、焦点距離の記述は35mmカメラ換算です)
ズーム比とは、広角側最短焦点距離(FZ70は20mm)に対して望遠側の最長(FZ1200mm)が何倍か(FZ70は60倍)というものですが、普通は20倍もあれば事足り、40倍なら500人程度のホールの後部座席からステージ上の人物のアップが狙えます。
FZ70が備える60倍光学ズームはその可能性をさらに高めるものですが、120倍iAズームでは、たとえば動物の生態を狙う場合のように、遠くて近寄れないもの、近寄ると危険なもの、近寄ると逃げてしまうもの、撮影していることを気付かれては困るものなどが対象になるでしょう。
●高倍率ズームが動画の表現領域を広げることは確か。
高倍率ズームを使った動画の表現では、単純なズーム・イン、ズーム・アウトの他に、よりドラマチックな演出法としてズーミングが使われることがよくあります。
ひとつは超望遠特有の、遠近感(パースペクティブ)を圧縮してみせる描写です。都会のラッシュアワーの様子とか、祭典でのパレードの情景とかでおなじみの手法ですが、超望遠は実際にはパラパラの人々の隙間を埋めて、うんと凝縮した密度の濃い現場の状況を作り上げます。
●望遠によるパースペクティブ(遠近感)圧縮効果のテスト
①10両編成の列車がすれ違う情景
②東京駅八重洲口側グランルーフのデッキから、正面に見える八重洲通りを展望
①
②
高倍率ズーム特有の描写のもう一つの手法は、トラック・イン(前進)/トラック・バック(後退)です。これもドラマではおなじみの手法で、普通はレールを使う撮影になるのですが、これはレールを使わずにズーミングによって、あたかもカメラが人物の前進/後退に密着して移動撮影したように見せる手法です。
例えば遠方の人物が近づいてくる場合、レンズの焦点距離を固定して撮影すれば、人物は次第に大きくなります。
ところがこの手法では、人物が近づいてきても、画面上の人物の大きさは変わらないのです。それは人物の接近に合わせてごく微妙なズーム・アウト操作を行って、画面の中の人物のサイズを一定に保つという細かい操作が行われるからです。
なお厳密に言えば、実際にレール上でカメラを引きながら撮影した場合と、一定の距離から人物の動きに合わせてズーム・アウトした画面では、映像の効果において異なることは当然です。
この他高倍率ズームの応用としては、カメラをトラック・インしながら同じ速度で人物をズーム・アウトする(あるいはその逆も)という凝った手法もあります。この場合、人物は(一見)同じサイズなのに、背景が迫ってくるという描写となり、観客はとても不思議な感覚の情景を見ることになります。
さすがにこれらの微妙なテクニックは、ズームスピードを任意に決められないFZ70に求めることは無理なようです。
ついでながらFZ70のズーミング速度について言えば、かなり急速です。
それも、広角側では早く、超望遠側に向かうに連れて遅くなるというように、一定スピードのズーミング感は得られません。
それは実は、同じ速度のズーミングでも、遠近感が誇張された広角側はズーミングを早く感じ、望遠側ではその逆、という視覚的なものなのですが、その点ビデオカメラでは、広角側から望遠側へ(あるいはその逆)同じスピード感覚でのズーミングが可能です。またズーミングのスピードは緩急自在です。そこがビデオカメラとFZ70のズーミング機構の決定的に違う点でした。
●60倍、120倍の[動画]ズーミングのテスト撮影
これまでのこのカメラタイプでは、ズーム比が大きいとズーミングの途中でピントが狂い、動画の利用では使いものになりませんでした。
Panasonic LUMIX DMC-FZ70は、広角20mmから望遠1200mmまで、60倍光学ズームが大きなセールスポイントですが、1200mmから2400mmまではiAズームと称して、ほとんど光学ズームと同等の画質で撮影することができます。
そして、ズームレバーを押し続けることによって、20mmから2400mmまで、120倍の連続ズーミングも可能です。
とはいえ、実際の動画撮影で20mmから2400mmまでのズーミングを一気に行うような必要性はきわめてまれなケースのはずです。普通は20mmから1200mmの間で20倍、30倍…というズーミングの使い方が多くなると思います。
ですが今回はズーミングのテストですから、20mmからの60倍光学ズームを経て2400mmまでのiAズームまで、一気に進めてみたいと思います。
5つの場面で試してみましたので、前述のようにズームのスピード感も大切ですから、じっくりと観察して頂きたいと思います。
そこでひとつ大事なポイントがあります。
光学ズームからiAズームまで連続的にズーミングできるといいましたが、実はその境界で1/60秒ほど停止することです。ほとんど分かりませんが、光学ズーミングでは機械的なレンズの動きが感じられますが、iAズームに切り替わった途端、その動きがなくなるので、その境界を知ることができます。ですから、光学とiAが切り替わる箇所…60倍をまたいだズーミングは避けた方が無難だということです。
なお、天候がくもりだったり、ガラス越しの撮影だったり、強風下の撮影だったり、撮影条件が過酷であり、必ずしもカメラの性能が100%生かされなかったことを付記しておきます。
① 都庁広場の彫像 20~1200~2400mm
曇り 柱寄りかかりの手持ち撮影
さすがにズームという連続撮影では1200mm以上の手持ち撮影は無理。
20mm
1200mm
2400mm
②都庁展望室からガラス越しに、新宿西口の街路
20~1200~2400mm~1200~20mm
曇り 両肘を窓枠に固定しての手持ち撮影
比較的静かな展望室で、カメラのズーム音がほとんど録音されていなくて、
新開発ステレオマイクの効果は歴然。
20mm
2400mm
③同 ガラス越しに六本木ヒルズ 20~1200~2400mm~1200~20mm
20mm
2400mm トップの写真はこの画像を調整したもの。
④多摩川の堰
20~1200~2400mm/2400mm~1200/1200~20mm
曇り 強風 三脚使用
20mm
1200mm
2400mm
⑤同 鵜(ウ) 20~1200/1200~2400mm
曇り 強風 三脚使用
20mm
◎Panasonic FZ70のお話をあと一回続けさせてください。
次回は「Panasonic FZ70で夜景の動画を撮る、他」です。
ビデオはあまりとらない私には、大変参考になりました。
それにしても凄いズームの性能ですね。
びっくりです。
by 駅員3 (2013-10-02 06:49)
私のカメラのズームよりもさらに性能が^_^;
120倍はすごい。。。
by green_blue_sky (2013-10-02 06:55)
スマホ&コンデジですが
最近望遠が欲しくなって・・・・(@@;)))
by 獏 (2013-10-02 06:59)
なるほど、なるほどと拝読させていただきました♪
映像テクニックにおけるズーミングなど、知らなかったことが分かりやすく、理解できたと・・・思います。(^_^ゞ
ズーミングスピードはやはりビデオカメラのようにはいかないのですね。でも、フォーカスがよくついてきてるのには関心です。
このYouTubeの動画、少し前に見ましたよ。sigさんがアップされたものとは知らずに・・・(^_-)
by 路渡カッパ (2013-10-02 10:28)
こんにちは!
Panasonic FZ70、いいカメラですねぇ~
sig さんの解説、参考になりました。
by yhiga-siura (2013-10-02 13:05)
あるいるさん
kemmさん
すーさん、こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-02 16:21)
adataraさん、はじめまして。こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-02 16:22)
駅員3さん、こんにちは。
この間は楽しい動画を見せていただきましたね。駅員3さんのお立場では、ジャンボリーなどでの動画撮影は無理で、瞬間で決まるスチル写真が多くなるでしょうが、たまには動画も使ってあげてください。笑
駅員3さんのスライドショーの編集技術は素晴らしいですからね。
by sig (2013-10-02 16:28)
green_blue_skyさん、こんにちは。
普通は10倍程度のズームで十分なのですが、それ以上の力があれば撮影の可能性も増すということで・・・。それだけのことです。
ニャンズの場合は望遠よりも広角側で撮ることが多いのではないでしょうか。
by sig (2013-10-02 16:55)
獏さん、こんにちは。
先日の彼岸花の写真は広角ならではのすばらしい描写ですね。広角側はどのメーカーのカメラも28~24mmあたりですが、望遠側は際限がないようですね。笑
by sig (2013-10-02 17:03)
tochiさん
般若坊さん
市丸さん
kurakichiさん
森田惠子さん
お茶屋さん
こんにちは。ご来館ありがとうござます。
by sig (2013-10-02 17:05)
路渡カッパさん、こんにちは。
ブログに使う動画は先に作りますので、YOUtubeに先にUpしています。
カッパさんはgoogle+あたりでこの動画をご覧になったかもしれませんね。実は先ほどそこに載っているのに気付いて、あわてました。笑
ズームスピードはテストの例にみるように一定です。この例ではいちばん遅くなるようにレバーを操作していますが、均等に送ること自体、難しいです。ただ、普通はこんなに大きなズーミングは使いませんので、大丈夫です。オートだと暗い場所でズーム途中でぼける恐れがありますが、最初に被写体にズームインしてピントを合わせて、「AF/AEロック」で固定してから任意のサイズに戻してズーミングすれば、途中ぼけは防げます。
ただ、次回に書くと思いますが、鏡胴を回してピント合わせができないのには戸惑いました。ピント合わせはシャッター半押しを繰り返しながら、ファインダーで確かめるしかないのです。
by sig (2013-10-02 17:30)
ChinchikoPapaさん
sachiさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-02 17:31)
yhiga_siuraさん、こんにちは。
このタイプのカメラでビデオ撮影という方は少ないと思いますが、ようやくビデオカメラとしての使い勝手が整ってきたと思いましたので、記事にしました。
by sig (2013-10-02 17:34)
砂漠のラクダさん
sugoimonoさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-02 17:35)
八犬伝さん
NO14Ruggermanさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-03 00:01)
待望の動画を見せていただき、そのズーミングと拡大率、望遠効果、迫力があって想像以上の凄さに驚きました。特に2400ミリは始めてみる効果です。この効果を生かした映像作りがスチールよりビデオの方がより楽しいのではないでしょうか。本格的な作品が楽しみです。
by カメキチ (2013-10-03 11:23)
NO14Ruggermanさん
ぼんぼちぼちぼちさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-03 22:18)
カメキチさん、こんばんは。
こんなに一気に120倍のズーミングすることはないでしょうが、テストとしてやってみたものです。光学ズームからデジタルのiAズームに変わる瞬間、ほんの一瞬、1コマ分ほど停止します。そこをまたがないようにズームすることがポイントですが、たいていは光学60倍で間に合うと思います。次回は夜景を試した報告です。作品作りはまだ先ですね。笑
by sig (2013-10-03 22:24)
このカメラめっさ欲しいんですが・・・
by くまら (2013-10-03 23:19)
やっぱり、いいカメラだとシャープですね。
素晴らしいです。
by OMOOMO (2013-10-04 00:13)
くまらさん、こんにちは。
このカメラ、発売1か月ちょっとの今日、Amazo~nでなんと37800円ですよ。大富豪のほんのポケットマネー。野鳥もバッチリ クローズアップですね。次回は夜景の動画を見てください。
by sig (2013-10-04 12:57)
OMOOMOさん、こんにちは。
ずーっとデジカメで通してきましたが、今使っているビデオカメラが時代遅れになってきたので、ビデオカメラの代わりに買いました。ちゃんとビデオカメラとしても使えることをテストしています。次回は夜景の動画を見てください。
by sig (2013-10-04 13:01)
sanaさん
yamさん
あかしやさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-04 13:02)
新しいカメラでズーム試しですか。
表現領域が広がりますね。
by lamer (2013-10-04 18:53)
こんにちは、
もの凄いズーム倍率ですね。
デジカメでのスチール写真や、動画、フィルムカメラでのフィルムでの撮影、双眼鏡、様々な機械での違い(携帯で撮った画像は何故か撮りっぱなしです。フィルムは、今でも大事に慎重に撮ります。)動画と静止画や、携帯での画像など、組み合わせたら非常に面白いものが生まれるだろうとヒントを頂きました。
オールドレンズで、動画をデジカメでの撮って楽しんでいましたが。
by SILENT (2013-10-05 19:00)
今造RAWINGTEAMさん
flutistさん
Ja-kou66さん
yuminekoさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-05 20:32)
lamerさん、こんばんは。
はい。これまで使っていたビデオカメラでは、ズーム比が物足りなくなりましたので、このカメラをビデオでも使うつもりです。実際はこんなバカげたズームはしませんけどね。笑
by sig (2013-10-05 20:35)
チョコシナモンさん
yakkoさん
こんばんは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-05 20:36)
SILENTさん、こんばんは。
静止画はこれまでデジカメ一辺倒でしたが、これはズーム比の大きいところが気に入って購入しました。実際には動画でこんなバカげた大ズームはしませんが、遠くの被写体をこれまでより大きく撮れる可能性は魅力です。SILENTさんの写真は本格的ですから、とても及びません。
by sig (2013-10-05 20:42)
次々と新しいのが出てきますね。 パナからのメルマガで知っていましたが
必要とする機能がある事は嬉しいですね。
by puripuri (2013-10-05 22:26)
puripuriさん、こんばんは。
スチルカメラはしばらくいじってこなかったので、慣れるまでは1年生です。
by sig (2013-10-06 00:21)
ズーム素晴らしいですね。六本木ヒルズが、都庁のビルからこんなに鮮明に撮影できてしまう、恐ろしいことですが、映像を作るという観点からは非常に便利な機能です。多摩川の鵜の姿も、宮本武蔵野墨絵よろしく、見事に撮られていますが、惜しむらくは手持ちであることで、三脚などで固定すればもっと安定した画像になるのですね。
by アヨアン・イゴカー (2013-10-06 03:11)
アヨアン・イゴカーさん、こんにちは。
都庁から六本木ヒルズ・・・これは都庁展望室の窓際の台に両肘をついての手持ち?撮影ですが、多摩川の鵜は三脚を使っています。ただ、風がすごかったので、コマ抜きした時に、多少ぶれたコマを取り出したかもしれません。けれども、2400mmの最大望遠では、こんなものでしょう。
by sig (2013-10-27 12:05)
うささん
ブラザー★ボブさん
こんにちは。ご来館ありがとうございます。
by sig (2013-10-27 12:07)
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by GraceJacobs (2018-11-20 05:48)